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HPHの紹介 公益社団法人 千鳥橋病院 舟越 光彦

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HPHの紹介公益社団法人 千鳥橋病院舟越 光彦

HPHの起源;オタワ憲章とヘルスプロモーション

1986年に提起されたオタワ憲章でヘルスプロモーションが提起

ヘルスプロモーションのための5つの活動領域 1) 健康的な政策づくり 2) 健康を支援する環境づくり 3) 地域活動の強化 4) 個人の技術の開発 5) ヘルス・サービスの方向転換

医療機関は治療・看護の伝統的な役割に加え、予防活動も担う。このモデル事業が、HPH。

HPHとは(定義)

ヘルスプロモーションの定義

「人々が自らの健康をコントロールし、改善することができるようにするプロセスである」(1986年、オタワ憲章)

「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールする能力を高め、それによって自らの健康を改善できるようにするプロセスである。」 重大な健康の決定要因として、国内外の格差拡大、都市化、地球規模の環境変化などを指摘

(2005年、バンコク憲章) グローバリズムの進展、格差が広がる中で、SDH(健康の社会的決定要因)への介入が求められる。

HPHの働きかける対象のシェーマ

患者、特に、社会的に困難な人たち

地域住民

スタッフ

3つのステークホルダーに対して、ヘルスプロモーションを働きかける。

HPHの基本原理

1、様々な人口集団でニーズや、価値感、文化が異なることを認識して、人間としての尊厳、公正、連帯そして職業倫理を促進すること。

2、質の改善と患者や家族、スタッフの健康、環境保護を志向し、自ら学び成長し続ける組織となること。

3、治療的なサービスだけでなく、全人的なアプローチで健康サービスに重点的に取り組むこと。

4、人を中心に据えた医療により、治癒過程を促進し患者のエンパワーメントに貢献するため、患者と家族にとって可能な限り最良のヘルスサービスを提供すること。

5、資源を効率よく、費用対効果も高く、健康改善の寄与にもとづき資源を割り当てること。

6、他のヘルスケアシステムやコミュニティーとできるだけ密接な連携をすること。

HPHが提起された背景

高齢化の進行に伴う慢性疾患の増加病院、ヘルスサービスは、治療に加えてヘルスプロモーションにも取り組むことが求められている。

病院、ヘルスサービスは、多くの労働者が働き、しかも、有害な環境に囲まれている。欧州では、人口の3%が従事。夜勤、感染、腰痛、ストレス、薬剤(抗がん剤など)

(Vienna recommendations 1997)

HPHの歴史

1986年; オタワ憲章 1988年; HPHの初期の概念が開発(出発点) 1990年; 国際的なネットワークが築かれた。 1991年; ブダペスト宣言

HPHに関する最初の政策 1997年; ウィーン勧告

HPHのネットワーク構成についての政策 2008年;HPH憲章の制定

日本の最初のHPH加入 2011年;科学ジャーナルの発行 2012年;アジアで初めての国際カンファレンス(台北)

日本の加盟は35施設(2015年10月現在)。世界で約900施設。

HPH国際ネットワークの組織機構

HPHで、特に関心が高い分野

アルコール問題精神科領域のヘルスプロモーション子どもと青年期のヘルスプロモーション移民に優しい病院

社会的に困難な人たちを対象としたヘルスプロモーション

禁煙高齢者にやさしい病院

HPHの特徴;根拠に基づいたヘルスプロモーション

術前の介入(禁煙、禁酒、運動)を行うと、術後合併症が有意に減少する禁煙は4週以上で効果がみられる。

自己評価マニュアル~PDCAサイクルで実践~

加入時の義務ではないが、HPHの活動の一部の自己評価が可能。

5つのStandard 管理方針 患者評価 患者情報と介入 健康職場の推進 地域連携

全日本民医連で翻訳。 ホームページからダウンロードできます。

世界から日本のHPHへの期待

超高齢社会におけるHPHのモデルとしての期待 超高齢社会で、HPHが、地域社会に、どのように貢献できるのかが注目されている。

HPHと市民の協同したヘルスプロモーション活動の実践

日本での課題

超高齢社会、地域包括ケアへの取り組み 高齢者を地域で支えるネットワークづくり。(セッティング アプローチの具体化)

格差社会、SDHに対する取り組み 公正な医療、社会の実現への貢献

「包括的」な医療の質の向上 研究 人づくり