太平洋島嶼国 放置車両問題 - kyoto ushioji/resource/ngp.pdf6 表 特預金の発生状況...
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太平洋島嶼国の放置車両問題の解決のために
京都大学
塩地洋
1
構成
はじめに
Ⅰ 原因-何故,放置車両問題が起こるのか(1)狭小性, (2)遠隔性, (3)分散性
Ⅱ 解決策-解体ビジネスを成り立たせるために(1)リサイクル預託金不還付(2)手ばらし解体(3)国際物流への援助
Ⅲ 政府の対応-2020年リ法見直し時,「国際化」が論点に
2
はじめに
3
日本の離島放置車両問題の教訓
▷離島放置車両問題の解決がすすむ.・不法投棄/不適正保管台数の減少2004年9月21万8,359台→2016年3月5,589台
▷とくに離島での放置台数は激減1万6,707台→128台 (マイナス99.2%).
▷離島対策支援金として,「特定再資源化預託金等」が活用・車両事故等によりエアバック展開,フロン流出でリサイクル処理が要らなくなり,その車の預託金が余った資金
・2015年度には 9,222万円が離島等放置車両問題をかかえる87市町村21,719台に対する海上輸送費用として支援
▷1台あたり5,300円-太平洋島嶼国ではこれでは不足・島嶼国で回収し,解体後,日本まで運ぶには2万円以上必要
4
特定再資源化預託金等の発生ケース
▷所有者から預託金を受けたが, その車両の3点(フロン等)の再資源化が行われず,預託金が使われなかった場合
⑴中古車として輸出された後, 2年以上預託金の還付請求がない場合
⑵主務大臣の認定を受けずに解体時が全部利用者(電炉等)などに引き渡された場合
⑶フロン類回収業者がフロン類を再利用した場合
⑷預託されている自動車が最後に車券を受けてから20年を経過した場合
5
6
表 特預金の発生状況 2015 年
ASR エアバッグ フロン 情報管理 総額
件数 12.5万台 15.7万台 2.1 万台 3.1 万台
金額 7.6 億円 3.7 億円 4.4 億円 0.05億円 15.8億円
金額/台 6,000 円 2.400 円 2,100 円 1,670 円
(出所)経済産業省・環境省(2016)より作成
(注) 概数
表 特預金 2005~2015 年
年度 2005 2012 2013 2014 2015
金額 13.4億円 16.0億円 15.4億円 16.5億円 15.8億円
残額 160 億円
(出所)経済産業省・環境省(2016)より作成
(注) 概数
成果の要因-民間解体会社のビジネスべースに任せた
▷成果の要因を太平洋島嶼国において解体/リサイクルビジネスを成立させる観点から分析すると
⑴自動車メーカーの直接的責任を3品(フロン,エアバッグ,シュレッダーダスト)に限定し,その他の部品/資源のリサイクルは民間の解体業者のビジネスベースに委ねたこと
⑵資金管理が厳密になされ,目的外使用されることがない点・1990年代までの財政投融資との相違.
▷2005年前後の円高が和らぎ,鉄スクラップ価格がやや回復・1990年代の廃車時の逆有償がなくなり,わずかの額でも有償を維持できるようになった外部環境もリサイクル法が成功した要因
▷総じてドイツ/EUのリサイクル制度よりも体系的であり,結果としても大きな成果を上げている 7
「リサイクルの国際化」が2020年再検討の課題
▷環境省/経産省(2016)
・2005年施行→2015年再検討のまとめ・「リサイクルの国際化」が提言されているが,まだアクションプランは提起されていない
▷本報告の狙い・ 2020年のリサイクル法の再々検討が2018年頃から始まる・太平洋島嶼国における放置車両問題を解決するためのアクションプランのたたき台となるような議論を始めること
8
Ⅰ 原因 何故,放置車が増えるのか
9
Ⅰ 原因 何故,放置車が増えるのか
(1)放置車両の実態
10
①フィジーとトンガにおける放置車両
▷レッカー会社による中古部品売り・約200台・事故車両もしくは道路上で動かなくなった車を牽引・部品取りにきた業者/個人に有償で売る方式
▷市街地での集積場・約20台・部品取りされていない車も
▷個人住宅でも放置
11
フィジー 市街地から離れた農業地域にある放置車12
100~200台の放置車両建物は何のため?
13
タイヤ, ドア等がはずれているエンジン,ミッション類は不明
14
20年以上放置か錆びて, ジャングルに朽ちていく
台数が少なければ, 環境への影響は小さいが・・・15
レッカー会社が所有者スペア部品と事故車牽引が主たるビジネス
客に部品取りをさせて料金をとる 16
市街地にある放置車両 20台程度これも客に部品取りをさせて料金を取る方式
17
タイヤを取っていない車あり
18
エンジンが取られている車も19
トンガ 民家の玄関前の放置車タイヤ, エンジン類がはずれている
20
民家の近くの放置車 2台と現役車
21
「我が家の過去の宝として誇示している」との説明も聞いた
22
フィジー 中古車販売店
23
▷資源ゴミ 廃車や廃家電のように, 製品が製造された当初の形態をある程度保ったまま廃棄されていRecyclable Waste Goods : RWG
▷リサイクル部品/資源
リサイクルを目的として,資源ゴミから分解・選別された部品や資源
エンジン 鉄スクラップや銅線
Recycled Waste Materials: RWM
資源ゴミ → 解体 →リサイクル部品/資源
24
図 資源ゴミとリサイクル資源の比率 (フィジー 2011年)
資源ゴミ
6万6,800t
リサイクル資源
3万8,100t57%
埋立 / 投棄
43%
輸出
国内市場 100t
3万8,000t
2万8,700t
出所) 国際協力機構(2013)より作成
自動車
1万1,600 t4,728台
← 金属スクララップ等
25
1トン古紙 →0.8トントイレットペーパー
バッテリー 鉛70%再利用
図 資源ゴミとリサイクル資源の比率 (トンガ 2011年)
資源ゴミ
6,000t
リサイクル資源
600t10%
埋立/投棄
90%
5,400t
輸出
600t 国内市場が皆無
出所) 国際協力機構(2013)より作成
自動車
2,400 t1,181台
26
27
廃車台数と回収スクラップ量・価格の推定(フィジー,2011 年)
廃車台数 合計重量 金属
スクラップ重量 回収可能な金属 スクラップ重量
スクラップ価格
4,728 台 11,614 トン 9,060 トン 5,900t 1 億 1,800 万円
JICA 推計
保有台数
81,787 台
JICA 推計
車種別に推計
JICA 推計
合計重量の
78%
JICA 推計
金属スクラップ重量の
65%
塩地推計
1t=2万円
廃車台数と回収スクラップ量・価格の推定(トンガ,2011 年)
廃車台数 合計重量 金属
スクラップ重量 回収可能な金属 スクラップ重量
スクラップ価格
1,181 台 2,400 トン 1,872 トン 470t 940 万円
JICA 推計
保有台数
20,018 台
JICA 推計
車種別に推計
JICA 推計
合計重量の
78%
JICA 推計
金属スクラップ重量の
25%
塩地推計
1t=2万円
(出所)国際協力機構等(2013)
表 車両の金属スクラップ回収(リサイクル)率 2011 年
フィジー トンガ バヌアツ サモア ツバル
金属スクラップ
回収(リサイクル)
比率
65%
25%
40%
50%
20%
(出所)国際協力機構(2013)
28
▷人口小さい国ほどリサイクル率低い「リサイクル困難国」
29
表 日本から島嶼国への中古車輸出台数 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
フィジー 68 645 766 786 1,367 4,023 6,033 8,615 11,962
サモア 85 356 967 450 479 832 1,106 1,616 1,807
PNG 2,567 2,491 2,940 3,680 4,245 2,860 2,239 2,572 1,738
トンガ 654 397 120 168 325 437 557 971 1,142
財務省 輸出統計
②太平洋島嶼国における放置車両数の推測
30
表 人口,保有台数,1000 人当り保有台数 2011 年
フィジー トンガ バヌアツ サモア ツバル
人口 86 万人 10 万人 25 万人 18 万人 1 万人
保有台数 82,000 台 20,000 台 14,000 台 16,000 台 1,600 台
1000 人当り保有台数
96 台
195 台
56 台
89 台
170 台
1 人当り GNI 36 万円 33 万円 28 万円 28 万円 27 万円
(出所)国際協力機構(2013)
▷5カ国で人口140万人→保有13万3,600台▷1000人当り保有台数平均は95台・以後簡素化のために100台と見做す
表 保有台数,廃車台数 2011 年
フィジー トンガ バヌアツ サモア ツバル
保有台数 82,000 台 20,000 台 14,000 台 16,000 台 1,600 台
廃車台数 4,728 台 1,181 台 999 台 1,592 台 162 台
廃車発生台数/保有 1000 台
58 台 59 台 71 台 100 台 101 台
(出所)国際協力機構(2013)より作成
▷5カ国で8,662台 ←保有13万3,600台から▷保有1000台から平均65台廃車が発生
31
太平洋島嶼国における放置車両数の推測
▷1000人当り保有台数は100台程度・所得は1人当りGDP3,000ドル程度であり,その所得水準だと1000当り60台程度の保有となるが,それよりも保有水準は高くなっている.公共交通機関が充実していないため日本の離島でも同様に保有水準は高い【参考】所得水準と保有の関係を示す概算式
(1000人当り保有台数)=(1人当りGDP[ドル])×0.02
▷島嶼国16カ国,人口1000万人,自動車保有台数100万台程度・年間販売(輸入)台数10万台
▷16カ国の保有100万台→年間廃車台数6.5万台程度・その廃車台数6.5万台の内→
放置車両が50%程度, 約3.25万台発生すると推測.・これまでの累積放置車両を30万~40万台と推測 32
累積放置車両台 30万~40台
▷回収費用が放置車両1台当り2万円と仮定・30万~40万台の累積放置車の回収費用は60億~80億円・予算の点から2~3年では全台数の回収は無理・10年ほどの長期の計画で回収すべし
▷当面は新たに発生する廃車を確実に解体/リサイクルしつつ, 累積放置車両を少しずつでも減らす方向をとるべき
▷フィジー・人口86万人,保有8.2万台,年間輸入台数1万台(新車1,000台,中古車9,000台), 年間廃車台数4,728台.うち放置車両1,655台程度. 累積放置車両2万台.
▷トンガ 人口10万人,保有2万台, 年間輸入台数1,000台(新車50台,中古車950台),年間廃車台数1,181台. うち放置車両886台程度. 累積放置車両8,000台 33
③放置車両が引き起こす問題
▷環境破壊・フロンのオゾン層破壊・エアバッグ爆薬の有毒性,・廃油等22㍑/台の一部は人体に悪影響・ シュレッダーダスト焼却時の有害物質発生
▷経済的利益の遺失・本来回収できる有価物(中古部品と金属資源)が回収できていない
・輸入超過経済の改善のための,貴重な輸出資源を活用できていない
34
Ⅰ 原因 何故,放置車が増えるのか
(2)何故,リサイクルできないのか
35
36
表 リサイクル/スクラップ会社 2011 年
フィジー トンガ バヌアツ サモア ツバル
保有台数 82,000 台 20,000 台 14,000 台 16,000 台 1,600 台
廃車台数 4,728 台 1,181 台 999 台 1,592 台 162 台
リサイクル 会社
16 社 5 社注 1)
5 社 4 社
1 社
うち金属 スクラップ
10 社 2 社 5 社 3 社
1社(1名)
(出所)国際協力機構(2013)より作成
(注) 1.バヌアツの 5社は国籍が判明しており,韓国系 4社,オーストラリア系 1社
トンガ 解体事業を中断しているGIOリサイクリング社
37
自動車以外の部品も
38
解体作業に使っていたクレーン付トラックも廃車
39
ただ バッテリーはまだ集めている様子フォークリフト用の台にのせられている
40
まだ使える中古タイヤも
41
自動車だけでなく, コピー機, パソコン, 洗濯機等々
42
解体中に中断したままの車両
43
エンジン, ラジエター, ヘッドランプ等は取っている
44
廃車ガラ このままではかさばる 20fコンテナに6台海上輸送費用を下げるためには,
車体を切断し, 小分けにしてプレスする必要がある45
車両持ち上げ用のフォークリフト
46
敷地のいたる所に様々な廃品が山積み
47
以前に使っていた小型プレス海上輸送コンテナに可能な限り多くのスクラップを搭
載するために小型プレスを稼働させる必要ある48
1メートル程度
プレスで固めたスクラップ左は空き缶 右は家電廃品か
49
現在は家電のIC基盤を集めている模様
50
基盤からは銅, 金, 銀が取れる
51
52
トンガにおける金属スクラップ価格
金属 円/トン
アルミニウム 30,000
真ちゅう 35,000
銅 250,000
ステンレス鋼 25,000
鉛 10,000
鋳鉄 1,000
(出所)国際協力機構(2013) 33 頁 修正.
53
20フィートコンテナに18トン詰めるとすると, 629トンは35コンテナ分→10日に1回の回収
GIO 社の輸出量
品目 トン
鉄類 544
非鉄金属 23
紙 12
バッテリー 50
計 629
(出所)国際協力機構(2013) 34 頁.
鉄類544トンをすべて自動車から発生したものとし, 自動車1台から700㎏の鉄類が取れるとすると,800台分に相当する輸出先はニュージーランド多い非鉄金属は台湾へも
トンガの港 20フィートコンテナ用のクレーン
54
20フィートコンテナ用のクレーン
55
フィジー AS部品販売店 規模小さい純正よりもイミテーション部品が中心だと思われる
56
解体
(分別)
資源リサイクル会社
リサイクル部品
販売会社
海外島嶼国
フロン処理エアバック展開
廃車ガラ
リサイクル資源(鉄, 銅, アルミ等)
リサイクル部品(商品化できる量少ない )
57
廃車収集
シュレッダー
会社
廃車
リサイクル資源
(鉄, 銅,アルミ等)
廃車
解体
(分別)
資源リサイクル会社
リサイクル部品
販売会社
海外島嶼国
フロン処理エアバック展開
廃車ガラ
リサイクル資源(鉄, 銅, アルミ等)
リサイクル部品(商品化できる量少ない )
58
廃車収集
シュレッダー
会社
廃車
リサイクル資源
(鉄, 銅,アルミ等)
廃車
島内処理
解体/リサイクル事業を困難とさせる三つの要因
⑴狭小性
⑵遠隔性
⑶分散性
59
⑴ 狭小性
▷解体企業の規模が狭小
・各国の廃車台数が少なく,解体企業の経営規模が小さく,事業が成り立たない
・廃車台数 フィジー年4,728台(1日20台) トンガ1,181台(5台)
▷市場が小さいのでリサイクル部品のマッチングができない・中古部品をリサイクルしても,島内で買手が見つからない
▷資源再生のための溶解炉が採算性たたない
▷リサイクル資源を集めても小量なため・港の荷役コストや海上輸送費がかさむ・その結果,取りに来てくれない
60
⑵ 遠隔性
▷最大の問題は国際物流費用(海上輸送費)の高さ・遠距離であるため船賃が高い・最も近いニュージーランドやオーストラリアへも2,000㎞
▷日本まで8,000㎞・協和海運が年に21便運行・バヌアツから東アジアまでは海上輸送費がリサイクル資源売上収入の約31%を占める (特別ディスカウントでも)
・「1トン1万円の鉄スクラップを国外(電炉のある国)へ持ち出すために船賃が1万円」
・過去に韓国企業(産廃-電炉事業)が金属スクラップの国際市況が良くなると回収し,プサンに持ち帰り,電炉投入
・ニュージーランドやオーストラリア,インドネシアへも国際市況に応じて動く 61
サモア 62
63
表 料金試算例 (バヌアツから東アジアへの輸送の場合)
工程 作業 費用
(円/20f コンテナ)
構成比 (%)
費用
収集 収集 不明
解体 分別 不明
コンテナ詰め 荷詰め 不明
輸送 国内輸送 不明
国際輸送 16 万円
31%
港湾荷役 荷役(バヌアツ) 5 万円
荷役(釜山) 1 万円
合計 22 万円+α 31%
売却価格金属スクラップ (3.5 万円/トン)
70 万円 100%
(出所)国際協力機構(2013)
(注) 一部修正.
64
リサイクル資源の フィジーからの輸出先
シェア %
韓国 57
ベトナム 10
シンガポール 7
ニュージーランド 6
オーストラリア 6
インドネシア 5 国際協力機構(2013) 2011 年の数値
海上輸送 コンテナ費用
▷東アジア-島嶼国間の20フィート・コンテナ(荷役含まず)・東アジア→島嶼国 24万円・島嶼国→東アジア 15万~20万円
・東アジア→島嶼国 荷物 ≒ 積載量・島嶼国→東アジア 荷物 ‹ 積載量 その結果割安
▷島嶼国は輸入超過の国が多い・輸出がゼロに近い国もある ツバル トンガ・金属スクラップの輸出は入超を改善する輸出財となる
65
海上輸送費の節約のために
▷東アジア-島嶼国間の20フィート・コンテナ(荷役含まず)・東アジア→島嶼国 24万円・島嶼国→東アジア 15万~20万円
▷20fコンテナに10台以上のスクラップを積むことができると,20万円÷10台=2万円/台となる
66
4299フィジードル,23万6000円日本では15万~20万円程度か
電気製品等, 工業製品はすべて高い 物流費故67
各国間の距離も大きい68
⑶ 分散性
▷さらに離島から本島への距離も離れている・離島の数が多く, 分散している・海上輸送費が20フィートコンテナで8万~15万円
▷通常,コンテナ船はハブ・アンド・スポーク型の航路をとるが,太平洋島嶼国では,マルチポートコール型の航路となり,輸送費が割高になる
69
フィジー 人口86万人 首都スバに9万人有人島110に分散 → 内航費用がかさむ
約300㎞船舶で8時間
70
表 有人島数 2011 年
フィジー トンガ バヌアツ サモア ツバル
有人島数 110 6 65 6 9
(出所)国際協力機構(2013)
71
72
表 本島と離島間の内航輸送費
フィジー サモア トンガ ツバル
本島 スバ マニファヌア ヌクアロファ フチフチ
離島 ランバサ サレロロガ ババウ ナヌナア
運賃 (20ft コンテナ) 9 万円 3 万円 5 万円 16 万円 廃車 1 台当り
運賃 (10台/コンテナ)
1
9,000 円
1
3,000 円
1
5,000 円
1
1.6 万円
備考 陸上輸送費含 大型トラック 15 ドル/トン
(出所)国際協力機構(2013)148 頁より作成.
73
解体ビジネスの収支
日本
支出 収入廃車仕入れ 25,000 円人件費 5,000 円設備費 3,000 円物流費 2,000 円
国内部品売上 15,000 円 輸出部品売上 15,000 円 リサイクル資源売上 25,000 円 リサイクル預託金 5,000 円
計 35,000 円 計 60,000 円
1500 ㏄乗用車 1 台当り
トンガ
支出 収入廃車仕入れ 0 円人件費 2,000 円設備費 5,000 円物流費 27,000 円
リサイクル部品売上 0 円 リサイクル資源売上 25,000 円
計 34,000 円 計 25,000 円
1500 ㏄乗用車 1 台当り
車両を放置する側の問題
▷現在は有償となっていないので, 廃車を集積場まで運ぶインセンティブがない
・廃車を集積場まで運ぶのに運送費が必要で, その費用が実質的に逆有償となっている
・とくに離島から本島まで運ぶのにフェリー運賃がかかるため, よりディスインセンティブとなる
▷土地利用が粗放的であり, 放置していてもそれほど損害ではない
▷放置車両から漏れる廃油等の汚染については環境意識が小さい
・放置車両に有害物質が含まれているという認識がない
74
現状では解体事業は成り立たない
▷トンガではGIO社が自動車の解体をおこない, ニュージーランドへ輸出していたが,現在はおこなっていない
▷政府や国際機関による援助なしでは, 解体/リサイクル事業は行なえない
・このような国/地域を「リサイクル困難国/地域」と名付ける
▷もちろん利用者負担原則が基本であり, 島嶼国ユーザーが解体/リサイクル費用の応分を負担すべきである
▷処理責任に関する誤った考え(一部の大学研究者)・「日本が使用済み車=廃棄物を持ち込んだ故,日本が処理
責任を負う」という考えは誤り・輸出したのは使用済み車ではない, 中古車=有価物である・年式1~3年10%,4~10年60%, 11年以上30%で, 使用済み車とみなされる車の比率は小さい 75
すこし脇道にそれる
島嶼国の新車ディーラー
76
トンガ トヨタディーラー
77
純正部品
78
ガソリンスタンドを兼営
79
軽油1㍑ 100円 ガソリン 250円
80
サモア トヨタディーラー整備工場 20ストール程度
年間新車販売台数100台程度としてはストール多い81
フィジー トヨタディーラープリウス整備の対策はできている
82
フィージーではハイブリッド車の関税が低くなり,急激に増大
83
84
修理を待つ車両AS部品の到着待ちに1~2週間
ハイラックス部品はタイから 85
Ⅱ 解決策
86
Ⅱ 解決策
(1)基本的方向性
87
基本的方向性
▷どのプロセスに援助(政府開発援助等)するか・どのプロセスをビジネス/民間ベース/コマーシャルベースで行なうか
【A】 廃車の収集 援助ベース
【B】 解体/分別 ビジネスベース【C】 国際物流 援助ベース
▷逆の考え方もある【A】廃車収集と, 【C】国際物流はビジネスベース【B】 解体/分別は援助ベース
以下, 前者に基づいて具体策を提起
88
Ⅱ 解決策
(2)具体策
89
具体策
【A】廃車収集 リサイクル預託金の不還付(援助ベース)
【B】解体/分別 手ばらしによる解体/分別(ビジネスベース)
【C】国際輸送 リサイクル特預金+ODA(援助ベース)
(将来の検討事項)【D】新車輸出 リサイクル預託金を取る
(援助ベース)90
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現地解体企業のビジネスモデル①
▷様々なビジネスモデルが考えられる
①マルチ製品解体方式・車両解体のみでなく,家電,古紙,ペットボトル,廃プラ等をまとめて処理する方式
・メリット 企業規模の拡大により,狭小性を克服する・離島から本島への物流のロットが増大・デメリット 各廃棄物の処理にシナジー効果が小さい
・「リサイクルポート」(国土交通省)とは静脈物流(リサイクル物流)の拠点を港湾設備内に設置
http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_fr6_000007.html
92
現地解体企業のビジネスモデル②
②現地の新車ディーラーに解体施設を併設させる・車両整備技能を有する整備工が解体作業にあたる (追加的訓練の度合いが小さい)
・新車販売時の下取り車の一部も解体する (現在,下取はほとんどおこなっていない)
・新車を供給している自動車メーカーに, リサイクル部品/資源を本国まで持ち帰ってもらう.
・本国からAS部品を運んだコンテナ(帰路は空)にリサイクル部品/資源を積んで本国に帰る
▷新車ディーラーが解体事業を担わない場合も,廃車回収事業を分担することが必要
93
現地解体企業のビジネスモデル③
▷日系の解体会社の現地進出・リサイクル券の活用で廃車集めが容易となり,政府援助で国際物流費がカバーできれば, 現地での解体ビジネスを利益の出る事業にすることは可能
94
Ⅲ 政府/省庁の対応策
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(1)問題認識
◇経済産業省自動車課自動車リサイクル室◇環境省廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室▷深刻な問題ではあるが,優先順位が高いわけではない・太平洋島嶼国の放置車両台数は未だ調査していない・遠隔性, 狭小性, 分散性が問題であることは認識している・解体事業の具体的プロセスについては考えていない
(2)特定再資源化預託金による援助・離島での放置車両回収で成功した方式・毎年15億円程度, 累計約160億円の余剰が特預金にある
・日本国内のリサイクル(3点の処理)のための資金として, 2015年度には502万台分, 計520億円の預託金が支払われ,累積では7,877万台分の8,452億円の預託金がある
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積極的に活動しているのはJICA
▷外務省/JICAによる大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)
・「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト」では、大洋州島嶼国の廃棄物管理にかかる人材と制度の強化を目的とし、大洋州11ヶ国において活動を実施しています。ソロモンでは、ホニアラ市とギゾ町において、3R(Reduce, Reuse, Recycle)活動を通じたごみの減量化と、処分場の整備を通じた廃棄物処分システムの改善を目指しています」
・2011年2月~2016年2月 8億円(対象全11カ国総額)
▷ただし,自動車リサイクルに関する具体的なアクションプランは未だ作成していない
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