業務改善note vol. 7 - cybozu.co.jp · kintoneアイデアと業務プロセスアイデア...

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Vol.7 2020.05 定価500円

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Page 2: 業務改善NOTE Vol. 7 - cybozu.co.jp · kintoneアイデアと業務プロセスアイデア 入力するアプリをひとつにして、現場の人が迷わないようにする

kintoneを使った業務改善の流れとは?皆さんは業務改善を進める中でこんな悩みはありませんか?

アタラシイショクギョウ業務改善職って?業務改善職とは、単にkintoneの機能を知っているだけではなく、どのようにkintoneを使うか? どのような人が業務に関わっているか? どのように業務を良い方向に変化させるか? 業務改善に関わる人をどのように巻き込んでいくか? もっといい方法はないだろうか? 将来的なリスクは? 他システムとの連携は? … 業務に対して様々な視点をもち、継続的に業務改善を進めることができる人、そんな人が業務改善職だと考えています。

はじめに

もしかすると、業務改善の流れを変えることでうまくいくかもしれません。業務改善にはマニュアルはありませんがコツはあります。 「アタラシイショクギョウ発見マガジン 業務改善NOTE」で、業務改善のコツを掴んでください。

課題を見つけてkintoneアプリを作ったけどイマイチ効果が出なかった…

一生懸命企画した業務改善プロジェクトが途中で頓挫してしまった…

業務改善を進める中で、なぜか現場の人達の反対にあってしまった…

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「唯一絶対的な正解」ではなく「その状況下での最適解」ここで紹介しているkintone業務改善事例は、「正解」ではなく「最適解」です。ここでの実施内容を単純にご自身の業務に当てはめるのではなく、業務改善の流れに沿ってアイデアを出し、実施内容を検討してみてください。きっと納得度の高い「あなただけの業務改善」が実施できるはずです。

アタラシイショクギョウ発見マガジン業務改善N O T Eとは

「kintoneの使い方」だけではなく、「業務改善の流れ」が大切kintoneアプリの構成や設定方法だけではなく、その時の状況や解決したいシナリオと併せて事例を紹介しています。事例を提供してくれた業務改善職の思考プロセスを学び、あなたの業務改善の引き出しを増やしてください。

kintoneを使った業務改善の事例を通して、業務改善の流れを体験できる冊子です。

この冊子の構成1事例4ページで構成されています。「自分ならどう考えるだろうか?」と思考実験しながら読み進めて見てください。

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目次

※オレンジの網掛けは、事例が該当するフェーズを表しています。

1. たった一つの報告アプリがつなぐチームの輪 P.04

2. シンプルアプリで、判定会議をクラウドで実現 P.08

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

3. ヒヤリハット報告をkintoneでしてみた! P.12

4. 電子カルテに足りない統計機能は、kintoneで補完しよう! P.16

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

5. イベントをカレンダーツールではなくkintoneで管理する理由 P.20

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

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たった一つの報告アプリがつなぐチームの輪シナリオ#1

I. 状況分析

背景・状況、およびシナリオに書かれていることから、「誰が、どのように困っているのか?」を具体的にイメージしよう。

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

デイサービスのICT化を任された筆者が赴任初日に目にしたのは、大学ノートと鉛筆の世界だった。 デイサービス内での日々の報告・引継ぎ・業務連絡・利用者様に関する情報は、口頭での伝達又は1冊の大学ノートに書き記すという方法で記録されていた。 1冊のノートにあらゆる利用者のあらゆる情報が混在していることで、日々の経過を時系列で追う事が難しく、また必要な業務連絡にたどり着くことも困難だった。 結果、利用者様の理解や現状把握が不十分となり、介護サービス向上の妨げになっていた。

背景・状況

現状構成

日々の報告や引継ぎの情報がノートと口頭で行われていた。

利用者様の把握が難しく、また問い合わせへの回答にも時間がかかっていた。

シナリオ

1冊のノートを共有する状態で、職員が書くのも見るのも面倒に感じており、ケアマネジャーや家族からの問い合わせに対する回答に時間がかかっていた。

利用者様の状態や環境変化について情報共有が徹底されておらず、適切な介護やリハビリに繋げる事ができない。利用者様の情報収集に駆け回り、結果明確な情報を得られない事もあった。

通所介護計画書や個別機能訓練実施計画書を記載する際に、客観的な情報を元に計画を立てる事が難しかった。

新入職員が利用者様の今までの経過についてまとまって知ることができなかった。

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たった一つの報告アプリがつなぐチームの輪シナリオ#1

II. 原因追求

根本原因の分析

原因分析のポイント

情報は専門職同士が共有し多角的に活用する事で生きてくる。

PC、スマホ、紙等、集めた情報を取得する手段は人によって違っていい。大事なのは選択肢があるということ、システム化した事で情報から遠ざかる人が出ない事。

作業を減らして支援を増やす。時間をかけても結果が同じ作業時間はゼロに近づける努力をする。 その分作られた時間を専門性の高い支援業務に充てる。

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

書き出した課題を分類・整理して、課題と課題の間の因果関係を見つけよう。そして「何を解決すべきか?」と「取り組むべき根本原因(≒ドミノの1枚目)」を明確にしよう。

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たった一つの報告アプリがつなぐチームの輪シナリオ#1

III. アイデア出し業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

根本原因を解消するアイデアを「kintoneで実現するアイデア(上段)」と「kintone以外で実施するアイデア(下段)」に分けて書き出し、その中から今回採用するアイデアを選択しよう。

根本原因 (II.原因分析の結果から) 最も解決したい問題 (II.原因分析の結果から)

「紙と鉛筆」世界の限界 利用者様の把握に努め、介護サービス向上したい

kintoneアイデアと業務プロセスアイデア

入力するアプリをひとつにして、現場の人が迷わないようにする

集めた情報を目的別に閲覧するアプリを多数作り情報活用する

利用者様の来所曜日毎の情報をいつでもPCから閲覧できるようにする

PCやスマホのデスクトップにショートカットを配置する(アプリ迷子を作らない)

アクション機能を使ってFAXを送信できるようにする

そのアイデアを採用した理由

現場のITリテラシーには個人差があるので、介護サービスが向上できるチームになるよう、誰もが入力しやすい仕組み作り、誰もが情報を得やすい体制作りを心がけた。大事なのはICT化する事でチームから外れてしまう人が出ない事。チームで居続けられる事。

採用したアイデア

これまでのやり方を踏襲して紙で情報共有

とにかく1ヶ所に情報を集約するという意識付け

気付いたこと、伝えたいことなんでも入力する(迷ったら入力!)

来所曜日の情報は直ぐに見えるように毎日印刷する

入力をサポートできるように音声入力やテンキー入力等、ICTが苦手な人も働き続けられるようにフォロー体制を整える

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たった一つの報告アプリがつなぐチームの輪シナリオ#1

IV. 実施内容業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

今回のシナリオに対しての実施内容を詳しくみてみよう。この実施内容はあくまでもこのシナリオにおける最適解なので、「自分ならどうするか?」を意識しながら読んでみよう。

kintoneで実施した内容

kintone以外で実施した内容

現場の職員が行う事は一つ。得た情報、気付いたこと、伝えたい事、なんでも報告アプリに入力する事。

みんなの気付きをみんなで共有!日々の気付きや報告内容、システムに入力するだけではただのデータです。職員が気付いて入力してくれたデータを、必要な時に必要な人が必要な分だけ取得し支援に生かす仕組みが出来た事で初めて生きた情報と呼べるものになりました!

業務改善職からの一言

清水 信貴 さん

報告アプリには「報告」「苦情」「休み」「リハビリ」等のチェックボックスが設けられており、それを元に各アプリに関連レコードで情報を振り分けている

プリントクリエイターではアプリ連携機能にて利用者様の来所曜日毎に情報をまとめ、毎日1部印刷している。PCでの情報参照が苦手な職員はその用紙で報告情報を取得する

報告アプリからアクション機能を使い「FAX送信アプリ」に報告内容とケアマネ事業所のFAX番号が飛ぶようになっており、そこから「FAX+kintone」サービスを利用してケアマネ宛にペーパーレス、ワンクリックFAX送信が行える。

必要なところに必要な情報を

自動で振り分ける

職員

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シンプルアプリで、判定会議をクラウドで実現シナリオ#2

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りI. 状況分析

背景・状況、およびシナリオに書かれていることから、「誰が、どのように困っているのか?」を具体的にイメージしよう。

医師・看護師・リハビリ・事務職など様々な専門職がチームとなる医療介護業界。医療介護サービスを提供する際、様々な職種が知識や意見を共有しながら進めていきます。情報共有が非常に重要です。

入院・入所・新規利用など新しく受け入れる際に判定会議と呼ばれる会議が日々日本中で開催されています。治療状況や状態によっては入院治療の受け入れが難しいケースもあるため、事前に検討する必要がでてきます。 定期的に集まる会議は現場で従事している職員としては負担のある会議となっていました。

背景・状況

現状構成

不定期だが頻繁に開催される判定会議のために大量の資料を紙に印刷している

事前に会議資料の内容を確認することができず、会議を効率的に運営できていない

会議に集まってから情報に目を通していたので、検討する前に情報を読み込む時間が必要となり長時間会議で拘束する状況であった。事前に人数分印刷して情報を配布しようと考えたが、毎日会議をする時期もあり、入院入所相談依頼は不定期に来ることから現実的ではなかった。

ネットワークに共有フォルダーを作成し、判定会議に必要な情報を共有してみたが情報に対してのコメント共有が困難であり、根本的な問題解決には繋がらなかった。

シナリオ

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シンプルアプリで、判定会議をクラウドで実現シナリオ#2

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りII. 原因追求

根本原因の分析

原因分析のポイント

担当者が自分のタイミングで会議資料にアクセスできるようにすることで、担当者の時間を奪わない。

会議の主な目的である「入院入所相談依頼」は不定期なので、決まった時間を確保しておくことがしづらい。

言った言わない等口頭での確認ではなく、記録として残すことでエビデンスとなり、判定等に役立つ情報となる。

書き出した課題を分類・整理して、課題と課題の間の因果関係を見つけよう。そして「何を解決すべきか?」と「取り組むべき根本原因(≒ドミノの1枚目)」を明確にしよう。

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シンプルアプリで、判定会議をクラウドで実現シナリオ#2

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIII. アイデア出し

根本原因を解消するアイデアを「kintoneで実現するアイデア(上段)」と「kintone以外で実施するアイデア(下段)」に分けて書き出し、その中から今回採用するアイデアを選択しよう。

根本原因 (II.原因分析の結果から) 最も解決したい問題 (II.原因分析の結果から)

会議資料を紙で配布している 日々行われる会議の負担が大きい

kintoneアイデアと業務プロセスアイデア

入院入所判定〜入所手続き〜入所者マスタなどのアプリを連動できるようにする

印刷していた資料をPDFにしてkintoneアプリに格納する

アプリには○×のドロップダウンを設置し意見を表明するだけにする(ディスカッションはあくまでも会議で行う)通知機能を利用して、不定期に開催される会議に対応する

そのアイデアを採用した理由

最優先したいのは「日々の会議の負担を減らすこと」なので、アプリを極力シンプルに構成した。

一方で新しい仕組みで現場を混乱させてしまっては本末転倒なので、十分な説明会を実施した。

採用したアイデア 運用に開始前に導入経緯の説明を含めた利用説明会を積極的に実施する

判定会議を定期的に開催する

どこからでも会議に参加したり資料を見れるように、ID/パスワードのみの運用とする

情報はクラウドに保存しつつ見やすさを優先して資料の印刷は継続する

厚生労働省、総務省、経済産業省のガイドラインに沿ったデータ運用の設計

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シンプルアプリで、判定会議をクラウドで実現シナリオ#2

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIV. 実施内容

今回のシナリオに対しての実施内容を詳しくみてみよう。この実施内容はあくまでもこのシナリオにおける最適解なので、「自分ならどうするか?」を意識しながら読んでみよう。

kintoneで実施した内容

kintone以外で実施した内容

IPアドレス制限とセキュアアクセスを用いてガイドラインに沿ったデータ運用。(厚生労働省、総務省、経済産業省のガイドラインにおいて、医療機関等は、記憶(ID・パスワード)以外の認証を加え、二要素認証を実施することが望ましいとされています。)

運用前にマニュアルの共有や、Zoomを利用したビデオ会議でアプリ導入経緯や利用方法の説明を積極的に行いました。

アプリを作ることが目的ではないはずです。作って満足しないように!3つのフィールドで構成されたシンプルなアプリでも実現可能なことはたくさんあります。難しく考えず、何を最優先に実現させたいかを考えてみましょう。

業務改善職からの一言

瀧村 孝一 さん

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シナリオ#3

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りI. 状況分析

背景・状況、およびシナリオに書かれていることから、「誰が、どのように困っているのか?」を具体的にイメージしよう。

医療機関には欠かせないヒヤリハット報告。みなさんの職場ではどのように報告を集めていますか?

手書きの紙、あるいは管理職に口頭で報告でしょうか?いずれの方法も行われていると思いますが、よく聞くお話が「ヒヤリハット報告の仕組みを作ったけど機能してない…」というものです。ヒヤリハットは医療機関を運営する上で非常に重要な仕組みですが、報告すること自体が過失を報告するようで…ストレスに感じられるという意見は多いのではないでしょうか。今回はそのヒヤリハット報告をkintoneでシステム化し、報告しやすい仕組みを作りました。

背景・状況

現状構成

紙ベースでの報告で、職場に行かないと提出できない

報告や対策検討も紙ベースのため、結果を共有しづらい

報告する本人の心理的ハードルが高い

当院でもヒヤリハット報告の仕組みを導入しています。導入当初は報告用の紙を用意し、ヒヤリハットが発生したら書き込んで担当スタッフに渡し、集まった報告は週に1度の全体会議で改善方法を考えるという流れです。

導入自体はスムーズにできましたが、案の定報告があまり挙がらないという問題が発生しました。このままではヒヤリハットが機能しないと考え、なぜ報告が挙がらないのか、どうすればスタッフのみなさんがヒヤリハット報告をしてくれるかを考え始めました。

シナリオ

ヒヤリハット報告をkintoneでしてみた!

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ヒヤリハット報告をkintoneでしてみた!シナリオ#3

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りII. 原因追求

根本原因の分析

原因分析のポイント

紙ベースの報告では職員の負担が大きく、ヒヤリハットが集まりづらい。

ヒヤリハットをオンラインで登録できる仕組みを用意しても、それを推進させるための制度がなければ組織として共有できない。

書き出した課題を分類・整理して、課題と課題の間の因果関係を見つけよう。そして「何を解決すべきか?」と「取り組むべき根本原因(≒ドミノの1枚目)」を明確にしよう。

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Page 15: 業務改善NOTE Vol. 7 - cybozu.co.jp · kintoneアイデアと業務プロセスアイデア 入力するアプリをひとつにして、現場の人が迷わないようにする

ヒヤリハット報告をkintoneでしてみた!シナリオ#3

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIII. アイデア出し

根本原因を解消するアイデアを「kintoneで実現するアイデア(上段)」と「kintone以外で実施するアイデア(下段)」に分けて書き出し、その中から今回採用するアイデアを選択しよう。

根本原因 (II.原因分析の結果から) 最も解決したい問題 (II.原因分析の結果から)

ヒヤリハットの報告の仕組みが紙

ヒヤリハットを提出することに対する評価制度がない

組織として課題を共有して解決できていない

そのアイデアを採用した理由

ヒヤリハットの報告は、その後の対策検討およびその内容を組織として共有することが目的なので、できるだけ報告しやすいような仕組みを考えた。

kintoneアイデアと業務プロセスアイデア

ヒヤリハット報告アプリとヒヤリハット対策検討アプリを別々に作ってアクションを設定する(アクセス権を個別に設定、報告と検討を区別する)ヒヤリハットの報告と共有を一つのアプリで構築し、内容はすべて共有する(アクセス権は設定しない) 結果の共有は全てkintone上で行う

結果の共有はMLを利用し、広く周知できるようにする 採用したアイデア

ヒヤリハットの報告にインセンティブをつける

ヒヤリハットの報告は職員の自主性に任せる

報告に対して対策を検討する委員会を週1回開催する

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ヒヤリハット報告をkintoneでしてみた!シナリオ#3

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIV. 実施内容

今回のシナリオに対しての実施内容を詳しくみてみよう。この実施内容はあくまでもこのシナリオにおける最適解なので、「自分ならどうするか?」を意識しながら読んでみよう。

kintoneで実施した内容

kintone以外で実施した内容

アプリ構成だけでなく人の動きにも注目目的を定め、どのような人の流れ・システムであればそれが達成できるのかを考えましょう!

業務改善職からの一言

前田 浩幸 さん

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電子カルテに足りない統計機能(グラフ)は、kintoneで補完!シナリオ#4

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りI. 状況分析

背景・状況、およびシナリオに書かれていることから、「誰が、どのように困っているのか?」を具体的にイメージしよう。

多くの医療機関では電子カルテを、介護サービス事業所では記録・請求ソフトを用いて、効率化を図っています。

しかしながら、記録や報酬請求に優れていても、診療実績などを集計した数値をグラフ化する機能がなかったり、あっても使い方が難しかったり、ユーザー間で共有するのが難しい等の理由で、Excel等を併用している組織も少なくありません。

背景・状況

現状構成

電子カルテの情報と、個別で管理していたExcelの情報を合わせてデータ集計し、グラフ化するために大きな工数がかかっていた。

ファイルが共有されても上手く活用できているとは言えない状況だった。

kintone導入前にはExcelを用いて、電子カルテで集計した数字を転記し、診療実績の把握や、業務効率化の検討用の統計資料(グラフ)を作成していました。

しかし個々にExcelデータを作っても、共有することが難しいために、現場の職員一人ひとりが数字を意識することができず、いま自分たちが何人の患者さんを診ているのか?も把握できていない状況でした。

また電子カルテで扱ってないデータは、そもそも集計すらできず、人力で数えてExcelに入力することもありました。

シナリオ

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電子カルテに足りない統計機能(グラフ)は、kintoneで補完!シナリオ#4

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りII. 原因追求

根本原因の分析

原因分析のポイント

電子カルテには数値を集計する機能はあるが、グラフ表示する機能がない。

データを日々確認できないため、個々の職員が数字を把握しづらい状況である。

Excelでのグラフ作成にはかなりの作業工数がかかるので、日次でExcel作成&集計するのは現実的でない。

書き出した課題を分類・整理して、課題と課題の間の因果関係を見つけよう。そして「何を解決すべきか?」と「取り組むべき根本原因(≒ドミノの1枚目)」を明確にしよう。

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電子カルテに足りない統計機能(グラフ)は、kintoneで補完!シナリオ#4

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIII. アイデア出し

根本原因を解消するアイデアを「kintoneで実現するアイデア(上段)」と「kintone以外で実施するアイデア(下段)」に分けて書き出し、その中から今回採用するアイデアを選択しよう。

根本原因 (II.原因分析の結果から) 最も解決したい問題 (II.原因分析の結果から)

当院独自に管理したいデータが収集できていない

データを最大限業務に活かせていない

そのアイデアを採用した理由

データの特性や職員が見るべきグラフを整理し、どのデータをどのように確認し業務に活用するかを意識してkintone環境を構築した

kintoneアイデアと業務プロセスアイデア

集計に必要なデータのみをkintoneアプリに格納する

職員には、自分で必要なグラフを作成できるようにアプリ権限をつける

電子カルテシステムとkintoneをAPI連携させてデータの重複を防ぐ

職員が把握するべきデータは決まっているので、スペースにグラフを貼り付けて誰でも簡単に確認できるようにする

kintoneにログインできない職員用に、グラフをPDFファイルにしてメール添付で送付するカスタマイズをする

採用したアイデア

毎朝全員でグラフを確認する時間を設ける

職員が自分のPCやスマホから自由にアクセスできるように、グラフ閲覧に特にルールは設けない

データの活用を促進するため、データをCSVに書き出し、提供する

医療機関におけるデータは全て厳重に管理すべきなので、管理者以外はデータ書き出しはできないルールとする

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電子カルテに足りない統計機能(グラフ)は、kintoneで補完!シナリオ#4

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りIV. 実施内容

今回のシナリオに対しての実施内容を詳しくみてみよう。この実施内容はあくまでもこのシナリオにおける最適解なので、「自分ならどうするか?」を意識しながら読んでみよう。

kintoneで実施した内容

kintoneのグラフは共有しやすさが魅力です!・スタッフが自然と見たくなる画面づくりができます。

・クラウド型の電子カルテなどで、患者情報のマスタがAPI連携できるとデータ管理がぐっと楽になります。メーカーと相談すると良いでしょう。

業務改善職からの一言

前島 啓二 さん

kintone以外で実施した内容

職員が自分のPCやスマホから自由にアクセスできように、グラフ閲覧に特にルールは設けなかった。

データの活用を促進するため、依頼があればCSVに書き出し提供した。

患者さんのデータベース

病院・薬局・介護サービス事業所のデータベース

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イベントをカレンダーツールではなくkintoneで管理する理由シナリオ#5

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返りI. 状況分析

背景・状況、およびシナリオに書かれていることから、「誰が、どのように困っているのか?」を具体的にイメージしよう。

症例研究会、医療講演会、就職説明会など…病院主催イベントは多数存在する。(当院で年間合計450件程度)これらイベントは、規模・対象・性質がそれぞれ大きく異なり、担当部署も多岐に渡る。また担当者も医療職で、本来業務の合間に行う企画対応は後回しになってしまう。 結果、イベント開催ノウハウの蓄積・継承に弱く、開催することが目的になってしまっている。長期的視点での戦略的なイベント企画はなかなか実現されない。特に病院は集患対策・採用対策でイベント品質を強化すべきことは共通認識なのだが、対策を打てないでいた。

背景・状況

現状構成

イベント開催が目的になってしまい、イベントの効果が分からなかった。

イベント開催することが忙しく、振り返りやイベント品質の強化ができなかった。

イベント管理をメール、紙、Excel、時にはWordで…かつ担当者個別で管理しているため、いつどこでどんなイベントが開催されているのか、体制や参加者の人数や年齢層など、基本的な情報すら全く共有されていない。カレンダーツールに登録はあるが、これがいつ時点の情報なのか、準備の経過も不明、時には予定が重複していることに気付かず、直前になって無理な調整を強いられることもあり、日常業務へ影響を与えてしまうこともしばしばあった。 つまり、戦略的イベント企画など望むべくもない状況であった。しかし、開催結果を振り返って次に繋げたい、集患対策や採用対策などイベント品質を向上させたいという意識だけは、担当者のみならず病院幹部含めて漠然と共有されていた。

シナリオ

企画書企画書企画書

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イベントをカレンダーツールではなくkintoneで管理する理由シナリオ#5

II. 原因追求

根本原因の分析

原因分析のポイント

イベントは多数開催しているものの、どのイベントも開催することが目的になっている。

記録がないので、過去開催分を振り返る時は記憶が頼り。

採用活動や地域医療の理解促進につながっていない。

イベント開催は医療業務の合間に行われ大きな工数がかかるが、開催結果の振り返りがされていないのでノウハウとして残らない。

書き出した課題を分類・整理して、課題と課題の間の因果関係を見つけよう。そして「何を解決すべきか?」と「取り組むべき根本原因(≒ドミノの1枚目)」を明確にしよう。

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

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Page 23: 業務改善NOTE Vol. 7 - cybozu.co.jp · kintoneアイデアと業務プロセスアイデア 入力するアプリをひとつにして、現場の人が迷わないようにする

イベントをカレンダーツールではなくkintoneで管理する理由シナリオ#5

III. アイデア出し

根本原因を解消するアイデアを「kintoneで実現するアイデア(上段)」と「kintone以外で実施するアイデア(下段)」に分けて書き出し、その中から今回採用するアイデアを選択しよう。

根本原因 (II.原因分析の結果から) 最も解決したい問題 (II.原因分析の結果から)

イベント開催業務が大変 病院の認知が上がらず、情報の理解がされない

そのアイデアを採用した理由

イベント開催の本質的な目的を認識し、実績のテーマ別集計を用意にすることで、イベント企画戦略に活用するため。

kintoneアイデアと業務プロセスアイデア

全てのイベントを一元的に管理できるように一つのアプリとして構築する。

イベントの性質や担当部署に合わせてアプリを分割する。

イベントやインターンの申込みはFormBridgeを使ってWebから申し込んでもらう方式とする。

上司への集計を想定し、カテゴリを設定する。

イベントやインターンにはメールで申し込んでもらう方式とする。

採用したアイデア

担当者のスキルレベルは様々なので、アプリの利用を強制せずに、紙やExcelの管理を併用する。

カスタマイズによってアプリを作り込んで、どのようなイベントパターンにも対応できるようにする。

イベントの管理を強化するために、全ての担当者が使えるようにルールやマニュアルを整備する。

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

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イベントをカレンダーツールではなくkintoneで管理する理由シナリオ#5

IV. 実施内容

今回のシナリオに対しての実施内容を詳しくみてみよう。この実施内容はあくまでもこのシナリオにおける最適解なので、「自分ならどうするか?」を意識しながら読んでみよう。

kintoneで実施した内容

業務改善は選択の連続です現場が求めているのは機能より効果、見た目より性能です。今回紹介したアプリは、kintoneを初めて触った方でもすぐに作れるほど、極々シンプルなものです。皆さん「これだけ?」と思ったことでしょう。それでも効果は抜群に出ています。ノウハウの蓄積・継承を含めて長期的に考えることが重要です。

業務改善職からの一言

峠 健太郎 さん

kintone以外で実施した内容

これらイベント管理アプリは「選択肢の一つ」とし、強制的な移行はしなかったが、関係者全員へ自然に浸透するよう、まずは1カ所で結果を出すよう徹底フォローした。

要望に応じて、すぐに改版するようなプロセスとした。

出席者管理(芳名録として医師会への提出用も兼ねる)、演題、テーマ(カテゴリ分類)、単位数、会場、会場担当者など。

会場、地域、演題、演者、テーマ(カテゴリ分類)、機材確認、現地の様子(スマホから写真登録)、住所(Googleマップ連携)など。

地域、現地の様子、参加人数、参加者名簿など。

業務分析

アプリ作成

アプリ活用

コミュニケーション

振り返り

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Page 25: 業務改善NOTE Vol. 7 - cybozu.co.jp · kintoneアイデアと業務プロセスアイデア 入力するアプリをひとつにして、現場の人が迷わないようにする

なんでもまずはオーソドックスな、業務改善の流れを身につけよう事例は全てkintone認定アプリデザインスペシャリストが執筆しています。現場で活躍する業務改善職はどのような流れで課題を解決していくのか?

この業務改善NOTEで学んでください。

正解は1つじゃない、業務改善の引き出しを増やそう業務改善NOTEは実際のkintoneユーザーに事例を掲載しています。

さまざまな業務改善の事例を、その背景と一緒に知ることで皆さんの業務改善の引き出しを増やしてください。

さぁ、仲間と一緒に仕事を良くしよう!流れを知り、さまざまな事例を知ったら、いよいよ仲間と一緒に仕事を良くしましょう!

会社の環境、ご自身の状況によって様々な解決方法があるはずです。ぜひチームのみんなと「自分たちの最適解」について話し合ってみてください。

後でつまずかないようにkintoneを適切に活用するためには知識やスキルも必要です。kintone認定資格をうまく使ってスキルアップを目指しましょう。

あとがき

kintone認定資格Webサイトkintone認定資格公式サイト ※業務改善リレーもこちらから

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今回業務改善事例の提供にご協力いただいたかたがたをご紹介します。

瀧村 孝一 (キンボウズ)京都リハビリテーション病院 地域医療連携室 兼 ICT Project Managerkintone認定 アプリデザインスペシャリスト (2019年6月)

体育学部卒、介護現場出身のノンプログラマーでも業務システムは作れる‼ アナログ情報が意外と多い医療介護現場で、現場から業務改善をどう図っていくか日々奮闘しています。仕事以外では、kintoneが好きすぎて個人ブログからkintone情報を発信をしています。株式会社MOVEDで複業中!!

【キンボウズ】 https://kinbozu.com/

清水 信貴デイサービスセンターひだまりの郷南前川 相談員 社会福祉士kintone認定 アプリデザインスペシャリスト (2019年9月)

福祉系の大学を卒業後、医療・介護業界一筋!ICT×医療・福祉で組織と社会の課題解決に興味あります。「作業を減らして支援を増やしたい」「業務改善で個人と組織をエンパワメントしたい」という思いで取り組んでます。自分達でシステム構築し続ける事で、チームワークやサービスが向上してきた実感を伝えていきたい。

【ほそぼそと業務改善】 https://note.com/mswnet

前田 浩幸猪原歯科・リハビリテーション科 医療情報・広報部 医療情報技師kintone認定 アプリデザインスペシャリスト (2019年12月)

広島県福山市にある猪原歯科・リハビリテーション科にてkintone担当をしています!医療とITを繋げる「医療情報技師」として地域医療に貢献する歯科医院を支えています。現場と密接に関わり、現場のニーズを満たすことと経営上の課題解決の両立を目指しています。そんな仕事をする私にとってkintoneは最強の武器です!

https://note.com/hiroyukimaeda

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今回の業務改善職のみなさん

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前島 啓二医療法人ゆうの森 事務局 業務サポート室 課長kintone認定 アプリデザインスペシャリスト (2018年2月)

kintone認定 アプリデザインスペシャリスト (2019年8月)

サイボウズさんと同じ松山生まれ、松山育ちです! 医療・介護スタッフの業務をサポートする担当として、5年ほど運用してきました。キントーンは業務改善だけでなく、自分の存在価値を見出してくれたり、多くの人との出会いをもたらしてくれた、という意味で感謝しかありません。 成功体験も、上手くいかなかったことも、ありのままを他のユーザーさんに伝えることで、恩返しできればと思います。

https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/yuunomori.html

峠 健太郎宇治徳洲会病院 地域医療連携室 副主任

https://logmi.jp/business/articles/320456

インフラSEとして8年間過ごした後、現職にてSE/広報/企画/営業など広く担当。kintoneを用いて急性期・回復期・慢性期と各医療職間の連携をレベルアップさせ、医療職と利用者、双方にとっての京都医療のブランドイメージを高めるべく奮闘中。kintoneをベースに別の病院や企業でも複業している。

kintoneデザインパターン研究会

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