働く女性の健康とストレスの要因 - dai-ichi...

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2008年 1 月 働く女性の健康とストレスの要因 ~仕事や職業生活でストレスを感じると答えた女性は約 75%~ 第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所 (社長 小山 正之)では、日本ヒーブ協議会の全国会員(女性)とその職場の同僚(男性女性) 521 名を対象に、標記についてのアンケート調査を実施いたしました。 この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。 ○女性の「首や肩のこり」「視力の低下」は、「ストレス」と関連している。 ○「婦人病」を心配している人は「ストレス」を心配している割合が高い。 月経の状況(P4) ○月経不順は約 15%、月経痛が重い人は3人に1人。 生理休暇を取得していない理由(P5) ○生理休暇を取得しない理由は、「取得しづらいため」が約 40%で最多。 ○「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得する」人も少なくない。 月経痛への対応(P6) ○月経痛が重い女性では市販薬の使用が約 42%。 ○月経痛が重くても何も対応していない女性は約4人に1人。 仕事や職業生活でのストレスの程度(P7) ○ストレスを感じると答えた割合は、女性では約 75%、男性では約 70%。 ストレスの程度と生活満足度(P8) ○ストレスを感じる人で生活に満足している女性は約 60%にとどまる。 ストレスの要因(P9~10) ○女性では「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じる ことがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、ストレス を感じると回答した割合が高い。 健康について心配なこと(P2) ○健康について心配なことは、女性では「首や肩のこり」が約 60%、 男性では「体力の低下」が約 45%。 働く女性のストレスを心配している割合(P3) ≪調査結果のポイント≫ ㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部 研究開発室 広報担当(室井・新井) TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 【アドレス】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi <お問い合わせ先>

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Page 1: 働く女性の健康とストレスの要因 - Dai-ichi Lifegroup.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0801.pdf · 図表5 生理休暇を取得していない理由<複数回答>

2008年 1 月

働く女性の健康とストレスの要因 ~仕事や職業生活でストレスを感じると答えた女性は約 75%~

第一生命保険相互会社(社長 斎藤 勝利)のシンクタンク、(株)第一生命経済研究所

(社長 小山 正之)では、日本ヒーブ協議会の全国会員(女性)とその職場の同僚(男性女性)

521 名を対象に、標記についてのアンケート調査を実施いたしました。

この程、その調査結果がまとまりましたのでご報告いたします。

○女性の「首や肩のこり」「視力の低下」は、「ストレス」と関連している。

○「婦人病」を心配している人は「ストレス」を心配している割合が高い。 月経の状況(P4)

○月経不順は約 15%、月経痛が重い人は3人に1人。 生理休暇を取得していない理由(P5)

○生理休暇を取得しない理由は、「取得しづらいため」が約 40%で最多。

○「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得する」人も少なくない。 月経痛への対応(P6)

○月経痛が重い女性では市販薬の使用が約 42%。

○月経痛が重くても何も対応していない女性は約4人に1人。 仕事や職業生活でのストレスの程度(P7)

○ストレスを感じると答えた割合は、女性では約 75%、男性では約 70%。 ストレスの程度と生活満足度(P8)

○ストレスを感じる人で生活に満足している女性は約 60%にとどまる。 ストレスの要因(P9~10)

○女性では「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じる

ことがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、ストレス

を感じると回答した割合が高い。

健康について心配なこと(P2)

○健康について心配なことは、女性では「首や肩のこり」が約 60%、

男性では「体力の低下」が約 45%。 働く女性のストレスを心配している割合(P3)

≪調査結果のポイント≫

㈱第一生命経済研究所 ライフデザイン研究本部

研究開発室 広報担当(室井・新井)

TEL.03-5221-4771

FAX.03-3212-4470

【アドレス】http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi

<お問い合わせ先>

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≪アンケート調査の実施概要≫

1.調査地域と対象 日本ヒーブ協議会※1の全国の会員(女性)と同僚(男性女性)

2.サンプル数 619 名

3.調査方法 質問紙郵送調査法

4.実施時期 2006 年 10 月

5.有効回収数(率) 521 名(84.2%)

6.回答者の属性

(単位:人)

①年代 20代 30代 40代 50代以上

全体(n=521) 76(14.4%) 215(41.3%) 173(33.2%) 58(11.1%)

女性(n=371) 59(15.9%) 162(43.7%) 112(30.2%) 38(10.2%)

男性(n=150) 16(10.6%) 53(35.3%) 61(40.7%) 20(13.3%)

(単位:%)

②婚姻形態 未婚 既婚 離別・死別

全体(n=521) 40.1 56.0 3.8

女性(n=371) 48.5 46.6 4.9

男性(n=150) 19.3 79.3 1.3

(単位:%) (単位:%)

③職種 全体(n=521) ④正規従業員 全体(n=521)

製造業 55.9 49人以下 10.2

サービス業 18.0 50~99人 4.4

金融・保険業 8.4 100~299人 4.0

商業 6.7 300~499人 3.1

電気・ガス業 3.6 500~999人 13.2

建築業 2.1 1,000人以上 64.9

運輸・情報通信業 1.5 無回答 0.2

水産・農林業 1.2

不動産業 0.6

無回答 1.9

(単位:%)

⑤就労形態 経営者・役員 正社員・正職員 契約・嘱託社員 派遣社員 その他

全体(n=521) 2.3 87.9 5.0 3.8 1.0

女性(n=371) 2.2 84.9 6.2 5.4 1.3

男性(n=150) 2.7 95.3 2.0 0.0 0.0

(単位:%)⑥住居地域 全体(n=521)

首都圏 61.2京阪神 17.7九州 10.6その他 9.4無回答 1.2

※1 有限責任中間法人日本ヒーブ協議会は、生活者と企業のパイプ役となることを目的として 1978 年に設立されまし

た。主に企業の消費者関連部門で働く女性が会員となっています。

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健康について心配なこと

健康について心配なことは、女性では「首や肩のこり」が約 60%、

男性では「体力の低下」が約 45%。

図表1 健康について心配なこと(性別)<複数回答>

61.7

49.1

45.6

41.5

28.8

28.0

20.8

24.3

25.1

19.9

21.6

16.7

21.3

19.7

17.3

14.6

10.8

3.2

7.3

33.3

38.0

40.0

46.7

27.3

26.7

21.3

10.0

14.0

5.3

14.7

1.3

40.0

16.7

6.0

13.3

18.0

25.6

2.7

-

33.3

0 20 40 60 80

首や肩のこり

視力の低下

ストレス

体力の低下

睡眠不足

腰痛

肥満

やる気の低下

パソコン作業による体への影響

頭痛(片頭痛など)

婦人病(月経痛やその他の生殖器疾患)

足のむくみ

精神の安定性

冷え性

体脂肪

花粉症

アレルギー(アトピー性皮膚炎等)

がん 

たばこによる体への影響

その他

女性(n=371)

男性(n=150)

(%)

健康について心配なことをたずねました。

女性では、「首や肩のこり」(61.7%)、「視力の低下」(49.1%)、「ストレス」(45.6%)、

「体力の低下」(41.5%)の順となりました(図表1)。女性に特有の健康上の心配として

「婦人病」をあげた割合は 25.6%と、約4人に1人となっています。

これに対し、男性では「体力の低下」(46.7%)、「ストレス」「体脂肪」(40.0%)、「視力

の低下」(38.0%)、「首や肩のこり」「肥満」(33.3%)となりました。「体脂肪」と回答し

た人は「肥満」にも回答している割合が高く、男性の健康上の心配は、いわゆる生活習慣

病にまつわる内容が中心となっています。

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働く女性のストレスを心配している割合

女性の「首や肩のこり」「視力の低下」は、「ストレス」と関連している。

「婦人病」を心配している人は「ストレス」を心配している割合が高い。

図表2 ストレスを心配している割合

(女性の健康上の心配上位2項目と婦人病に対する心配の有無別)

首や肩のこり

視力の低下

婦人病(女性全体)

婦人病(45歳未満)

56.8

27.5

51.6

39.7

53.7

42.8

57.3

43.5

0 20 40 60 80

心配している(n=229)

心配していない(n=142)

心配している(n=182)

心配していない(n=189)

心配している(n=95)

心配していない(n=276)

心配している(n=82)

心配していない(n=209)

(%)

「首や肩のこり」「視力の低下」のいずれも心配していると答えた女性では「ストレス」

を心配している割合が高く、「ストレス」と関連していることがわかりました(図表2)。

また、女性に特有の健康上の心配として「婦人病」がありますが、「婦人病」を心配してい

る人でも「ストレス」を心配している割合が高くなっています。

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月経の状況

月経不順は約 15%。

月経痛が重い人は3人に1人。

図表3 月経の状況 図表4 月経痛の程度

不順15.1%

順調84.9%

(n=291)

ひどい(薬を服

用すれば仕事ができる程度)

27.1%

月経痛は感じない

17.9%

月経痛はあるが我慢できる

程度48.1%

かなりひどい(薬を服用しても会社を休むほ

ど)6.2%

無回答0.7%

(n=291)

「婦人病」の中でも、特に月経痛に注目し、職場での対応の状況をみてみます。まず、

月経の状況についてたずねました。

順調と答えた割合は 84.9%、不順と答えた割合は 15.1%でした(図表3)。月経痛の程度

は、「月経痛はあるが我慢できる程度」(48.1%)が最も多く、次いで「ひどい」(27.1%)、

「月経痛は感じない」(17.9%)の順となり、「かなりひどい」と答えた割合は 6.2%となっ

ています(図表4)。月経痛が重い(「かなりひどい」と「ひどい」の合計、以下同)と回答

している割合は、33.3%と少なくありません。

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生理休暇を取得していない理由

生理休暇を取得しない理由は、「取得しづらいため」が約 40%で最多。

「生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得する」人も少なくない。

図表5 生理休暇を取得していない理由<複数回答>

38.1

33.0

23.7

13.4

4.1

4.1

0 10 20 30 40 50

取得しづらいため

休むほどのことではないため

生理休暇のかわりに年次有給休暇を取得するため

生理休暇があるかどうか分からないため

有給休暇以外の休暇制度、フレックスタイム制度などを利用するため

その他

(%)

(n=97)

生理休暇の取得状況をたずねたところ、過去1年以内に取得した人の割合は 4.4%と低い

ものでした。ただし、45 歳未満の女性で過去1年間の生理休暇の取得率を月経痛の程度別

にみると、「かなりひどい」と答えた女性では 18 名中5名(27.8%)、「ひどい」と答えた

女性では 79 名中3名(3.8%)、「月経痛はあるが我慢できる程度」と答えた女性では 140

名中4名(2.9%)と差がありました(図表省略)。

月経痛が重いと答えた女性(45 歳未満)に、過去1年間に生理休暇を取得しなかった理

由をたずねました。

「取得しづらいため」が 38.1%で最も多く、次いで「休むほどのことではないため」

(33.0%)となっています(図表5)。薬を服用すれば出勤できることから、休むほどのこ

とではない、という女性が少なくないようです。生理休暇が取得しづらいためか、「生理

休暇のかわりに年次有給休暇を取得するため」という回答も 23.7%と少なくありません。

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月経痛への対応

月経痛が重い女性では市販薬の使用が約 42%。

月経痛が重くても何も対応していない女性も約4人に1人。

図表6 月経痛への対応(月経痛の程度別)<複数回答>

42.4

35.9

8.7

8.7

7.6

2.2

0.1

4.3

26.1

5.2

20.4

28.2

12.7

4.2

1.4

0.7

0.7

5.6

40.8

26.0

0 10 20 30 40 50

市販薬を使用した

産婦人科を受診した

産婦人科以外を受診した

先輩や同僚に相談した

産業医等健康管理部門に相談した

上司に相談した

人事・総務の担当者に相談した

その他

特に何もしなかった

無回答

月経痛が重い(n=97)

月経痛が重くない(n=192)

(%)

月経痛への対応をたずねました。

45 歳未満で月経痛が重い女性では「市販薬を使用した」(42.4%)、「産婦人科を受診した」

(35.9%)という回答が多くなりました(図表6)。

しかし、月経痛が重いと答えた女性でも、「先輩や同僚に相談した」「産業医等健康管理

部門に相談した」割合はいずれも1割未満と、職場で相談する場のある女性はほとんどい

ません。「特に何もしなかった」と回答した女性も 26.1%と、月経痛が重くても何も対応

していない女性も約4人に1人います。

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仕事や職業生活でのストレスの程度

ストレスを感じると答えた割合は、

女性では約 75%、男性では約 70%。

図表7 仕事や職業生活でのストレスの程度(性別)

28.0

22.7

46.6

46.0

7.5

8.0

0.5

20.0

16.4

2.7

0.8

0.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

女性(n=371)

男性(n=150)

とても感じる   感じる     何ともいえない あまり感じない 全く感じない 無回答

図表8 ストレスを感じる程度(性・年代別)

37.3 45.8 5.1

仕事や職業生活でのストレスにたずねました。

ストレスを感じる(「とても感じる」と「感じる」の合計)と答えた割合は、女性(74.6%)

の方が男性(68.7%)より高くなりました(図表7)。

性・年代別にストレスの程度をみると、女性は 20 代と 40 代で、男性は 40 代で、他の年

代と比べてストレスを感じる程度が高い傾向にありました(図表8)。

女性

男性

25.3

29.5

21.1

12.5

15.1

32.8

20.0

53.6

47.4

43.8

49.1

40.0

10.5

4.5

7.9

18.8

3.8

8.2

10.0

25.0

22.6

30.0

7.5

45.9

42.0

11.9

19.1 1.9

1.9

12.5

23.7

13.1

1.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

20代(n=59)

30代(n=162)

40代(n=112)

50代以上(n=38)

20代(n=16)

30代(n=53)

40代(n=61)

50代以上(n=20)

とても感じる 感じる 何ともいえない あまり感じない 無回答

--

--

-

-

-

-

--

--

全く感じない

7

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ストレスの程度と生活満足感

ストレスを感じる人で生活に満足している女性は約 60%にとどまる。

図表9 ストレスの程度と生活満足感

女性

男性

5.1

11.0

6.8

19.6

56.0

73.6

43.7

67.4

30.0

12.1

33.0

8.7 4.3

14.6

2.2

6.9

1.9

1.80.4

1.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ストレスを感じる(n=277)

ストレスを感じない(n=91)

ストレスを感じる(n=103)

ストレスを感じない(n=46)

満足している まあ満足している

どちらともいえない どちらかといえば不満である

不満である 無回答

-

-

-

-

ストレスの程度と生活満足感(生活全体についての満足感)の関係をみると、男女とも

にストレスを感じると答えた人で生活満足感は低くなっています(図表9)。

女性では、ストレスを感じる人で生活に満足している(「満足している」と「まあ満足して

いる」の合計)と回答した割合は 61.1%にとどまるのに対し、ストレスを感じない人では

84.6%が満足していると答えていました。

8

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ストレスの要因

女性では「通勤時間と勤務時間の合計が平均以上」

「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」

「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」

「月経痛が重い」人で、ストレスを感じると回答した割合が高い。

9

9

図表 10 ストレスを感じる(「とても感じる」「感じる」の合計)と回答した割合 (各要因の該当・非該当別)

87.9

81.2

89.1

78.6

77.2

81.4

82.6

74.0

66.9

72.8

71.9

66.2

65.2

70.1

76.7

69.6

020406080100

管理職(回答者が課長相当以上)

通勤時間と勤務時間の合計が平均(男性11時間48分、女性10時間45分)以上

上司の性別が男性

職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある

年次有給休暇の取得が平均(男性4日、女性6日)未満

体調が悪い場合でも出社する

上司との信頼感が弱い(注1)

同僚との信頼感が弱い(注1)

[女性]

70.0

72.4

68.7

75.0

67.9

71.3

74.6

74.6

68.8

65.3

73.3

68.4

69.8

46.2

64.9

65.5

0 20 40 60 80 100[男性]

*

**

**

72.9

75.2

83.3

83.3

76.5

81.5

80.9

74.5

72.5

73.4

70.5

73.7

020406080100

睡眠時間が平均(男女とも6時間)未満

運動が月1回未満

月経痛が重い(注2)

過去1年間に生理休暇を取得した(注2)

未婚

単身世帯

該当 非該当

[女性]

62.5

65.6

71.4

70.8

73.5

73.7

68.9

67.8

-

-

0 20 40 60 80 100[男性]

*

*

(%)

(%)

注1:上司と同僚は「どれくらい気軽に話ができますか」「あなたが困ったとき、どのくらい頼りになりますか」「あなたの個人的な

問題を相談したら、どのくらいきいてくれますか」について、それぞれ「非常に」~「全くない」の4段階で回答を得た。回

答を4~1点に得点化し、合計得点を信頼感の得点とし、平均得点以下を「信頼感が弱い」とした。クロンバックのα係

数は、男性の同僚との関係(0.753)を除き 0.8 以上である。

注2:対象は 45 歳未満の女性

注3:フィッシャーの直接法による検定の結果、*=p<0.05、**=p<0.01、***=p<0.001

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仕事や職業生活によるストレスの要因として、「就業状況」に関する8項目、「生活状況」

に関する6項目(うち2項目は女性のみ)を想定し、それぞれにストレスとの関連をみま

した(図表 10)。

その結果、女性では、「通勤時間と勤務時間の合計が平均(10 時間 45 分、以下同)以上」

「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」「同僚と

の信頼感が弱い」「月経痛が重い」人で、そうでない人と比べてストレスを感じると回答し

た割合が高くなりました。

一方、男性では、該当人数が十分でない項目もあるためか統計的な差はみられませんが、

「体調が悪い場合でも出社する」、「上司との信頼感が弱い」「同僚との信頼感が弱い」人で

ストレスを感じる割合が高い傾向がみられます。同じ職場でも、男女で就業状況や生活状

況の項目とストレスとの関連に差がみられます。

10

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≪研究員のコメント≫

フルタイムで働く人の健康について心配なことは、男性女性共に、「視力の低下」や「体

力の低下」に加えて、「ストレス」をあげる割合が高くなっていました。女性については、

「首や肩のこり」「視力の低下」は、いずれも「ストレス」と関連しています。

また、女性特有の月経痛では薬が効かないほど月経痛が重いと答えた女性でも、生理休

暇の取得は3割未満と低く、市販薬で対応している女性が約4割、産婦人科の受診は3割

強にとどまっていました。生理休暇の取得が進まない理由として、生理休暇の取得のしづ

らさを約4割の女性があげており、生理休暇の代わりに年次有給休暇を取得する女性も約

4人に1人みられました。 女性にとって婦人科の診察への抵抗感は高いことからも、必要に応じて受診の機会を設

けることを積極的に指導するとともに、医療機関を受診しやすい職場環境を整備するよう

努めることが求められます。

ストレスについては、同じ職場で働く女性と男性との比較調査から、仕事や職業生活でス

トレスを感じている割合は、男性よりも女性でやや高い傾向にありました。 仕事によるストレスと関連している項目は、女性で「通勤時間と勤務時間の合計が平均

以上」「職場でたばこの臭いや煙を不快に感じることがある」「上司との信頼感が弱い」

「同僚との信頼感が弱い」「月経痛が重い」と、職場環境や女性特有の身体的理由がある場

合にストレスを感じる割合が高くなっていました。同じ職場であっても、男性に比べて女

性の方がこれら就業状況によるストレスを受けやすいようです。 以上から、働く女性にとってストレスを感じない環境を作るためには、長時間にならな

い働き方、分煙あるいは禁煙の徹底など、労働環境の整備が必要であると考えられます。

また、上司の性別にかかわらず、職場の上司や同僚との信頼感が弱い場合には、ストレ

スを感じる割合が高くなります。職場での人間関係がドライになっているといわれる今日

ですが、上司や同僚との信頼感を築くことは、働く女性にとって、ストレスなく働くため

の重要なポイントといえるでしょう。男性と同じ職場環境の中、女性は様々な要因からス

トレスを感じており、職場でのストレス軽減に向けた取り組みが求められます。

(研究開発室 副主任研究員 下開千春)

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