発行日: 2018 年6月25 日 全日本ロードレース第 4戦スポー...

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615日・16日<フリー走行~予選>/予選9番手 中島は今回も事前テストには参加せず、レースウイーク初日の615日金曜からの スタートとなった。 金曜午前中のフリー走行1回目はドライから霧雨によって路面が濡れていくコンディ ションの中で行われた。さらには6月中旬にも関わらず気温は16度と寒く、路面温度 も上がらない。こうした気候に対し昨年のSUGOのデータをベースに走行をスタートさ せた中島だったが難しいコンディションへの戸惑いもあり、1'42.42112番手スタート となった。午後の2回目の走行は完全なウエットとなり、1'50.385のタイムで2番手と なった。雨のフィーリングは非常に良く、その部分ではチームにとって大きな安心材料 となった。 予選日となる翌土曜は早朝まで降り続いていた雨が止み、路面が乾いていくまたし ても微妙なコンディションとなった。気温は14度と上がらない。朝855分からの予選 スタート時には大きなウエットパッチがコース上に残り、さらには時折霧雨がパラつく状 況となったが、それでもセッション後半には路面が乾いていき、各ライダーともタイムア タックを続けていく。中島も1'43秒台からスタートし、終盤は1'40秒台から41秒台で ラップ。ラストラップに1'39"723のタイムを出し、9番手グリッド獲得となった。。 617日<決勝>/決勝2決勝日は気温も上がったが、フリー走行がスタートする朝8時の時点で17度。 路面温度はまだ十分に上がらない。中島は1'37秒台でスタートし、7周目のラストラ ップで1'36"939をマーク。全体で5番手に付けるタイムとなった。さらに気温が上がりそ うな状況を見ながら、チームはここでさらにセットアップを進めようとミーティングを続ける。 コンディションの良かった昨年の岡山国際、鈴鹿のデータをベースに、SUGOのコース に向けてマシンをアジャスト。さらなるペースアップを図るべくトライした。 決勝に向けたサイティングラップでの感触も上々。そうしてレースはスタートした。良い スタートで上位につけようとした3コーナーで、中島の真横にいたライダーが転倒。その まま中島の前を遮る形となった。これを避けようと中島はブレーキングしながらコースか ら飛び出し、かろうじて転倒は避けられたものの、先頭集団からは大きく離れ、最後 尾となってしまった。それでも諦めずにペースアップ。1周ごとに前との差を詰め、4周目 時点で12番手まで追い上げた。さらに前を追っていた5周目、コース上にオイルが出 てクラッシュが発生したことから赤旗中断となり、4周目終了時点での順位で再スター トすることとなった。 オイル清掃もあり、50分遅れでレースは再スタート。中島は1周目に5番手までジャン プアップ。トップグループに加わっていき、2周目にはトップに立つ。中島はさらに3周目、 4周目もトップでメインスタンド前を通過。3台でのトップ争いとなり、ラスト3周で再び トップに立つがなかなか後続を引き離せず、いよいよファイナルラップに。 1コーナーで1台に抜かれ、馬の背でさらにもう一台にパスされた中島。最後に仕掛け たのはシケインで、インへ飛び込みトップに出たが、タイトなラインのため加速が鈍り、 2位チェッカーとなった。 開催地説明 東京から北へ約350kmほどの距離にあるスポーツランドSUGO全日本ロードレース選手権シリーズの中では、唯一の東北地方での開催となる。全 3.7kmで起伏と右コーナー中心にレイアウトされた遠くに蔵王連峰を臨む、美しい 自然の中のサーキットだ。 全日本ロードレース第4戦スポーツランドSUGO 参戦報告書 発行日:2018625

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Page 1: 発行日: 2018 年6月25 日 全日本ロードレース第 4戦スポー …...全日本ロードレース第 4戦スポーツランドSUGO 参戦報告書 発行日:2018年6月25日

6月15日・16日<フリー走行~予選>/予選9番手中島は今回も事前テストには参加せず、レースウイーク初日の6月15日金曜からのスタートとなった。金曜午前中のフリー走行1回目はドライから霧雨によって路面が濡れていくコンディションの中で行われた。さらには6月中旬にも関わらず気温は16度と寒く、路面温度も上がらない。こうした気候に対し昨年のSUGOのデータをベースに走行をスタートさせた中島だったが難しいコンディションへの戸惑いもあり、1'42.421で12番手スタートとなった。午後の2回目の走行は完全なウエットとなり、1'50.385のタイムで2番手となった。雨のフィーリングは非常に良く、その部分ではチームにとって大きな安心材料となった。

予選日となる翌土曜は早朝まで降り続いていた雨が止み、路面が乾いていくまたしても微妙なコンディションとなった。気温は14度と上がらない。朝8時55分からの予選スタート時には大きなウエットパッチがコース上に残り、さらには時折霧雨がパラつく状況となったが、それでもセッション後半には路面が乾いていき、各ライダーともタイムアタックを続けていく。中島も1'43秒台からスタートし、終盤は1'40秒台から41秒台でラップ。ラストラップに1'39"723のタイムを出し、9番手グリッド獲得となった。。

6月17日<決勝>/決勝2位決勝日は気温も上がったが、フリー走行がスタートする朝8時の時点で17度。路面温度はまだ十分に上がらない。中島は1'37秒台でスタートし、7周目のラストラップで1'36"939をマーク。全体で5番手に付けるタイムとなった。さらに気温が上がりそうな状況を見ながら、チームはここでさらにセットアップを進めようとミーティングを続ける。コンディションの良かった昨年の岡山国際、鈴鹿のデータをベースに、SUGOのコースに向けてマシンをアジャスト。さらなるペースアップを図るべくトライした。

決勝に向けたサイティングラップでの感触も上々。そうしてレースはスタートした。良いスタートで上位につけようとした3コーナーで、中島の真横にいたライダーが転倒。そのまま中島の前を遮る形となった。これを避けようと中島はブレーキングしながらコースから飛び出し、かろうじて転倒は避けられたものの、先頭集団からは大きく離れ、最後尾となってしまった。それでも諦めずにペースアップ。1周ごとに前との差を詰め、4周目時点で12番手まで追い上げた。さらに前を追っていた5周目、コース上にオイルが出てクラッシュが発生したことから赤旗中断となり、4周目終了時点での順位で再スタートすることとなった。オイル清掃もあり、50分遅れでレースは再スタート。中島は1周目に5番手までジャンプアップ。トップグループに加わっていき、2周目にはトップに立つ。中島はさらに3周目、4周目もトップでメインスタンド前を通過。3台でのトップ争いとなり、ラスト3周で再びトップに立つがなかなか後続を引き離せず、いよいよファイナルラップに。1コーナーで1台に抜かれ、馬の背でさらにもう一台にパスされた中島。最後に仕掛けたのはシケインで、インへ飛び込みトップに出たが、タイトなラインのため加速が鈍り、2位チェッカーとなった。

開催地説明東京から北へ約350kmほどの距離にあるスポーツランドSUGO。全日本ロードレース選手権シリーズの中では、唯一の東北地方での開催となる。全長3.7kmで起伏と右コーナー中心にレイアウトされた遠くに蔵王連峰を臨む、美しい自然の中のサーキットだ。

全日本ロードレース第4戦スポーツランドSUGO 参戦報告書

発行日:2018年6月25日

Page 2: 発行日: 2018 年6月25 日 全日本ロードレース第 4戦スポー …...全日本ロードレース第 4戦スポーツランドSUGO 参戦報告書 発行日:2018年6月25日

全日本ロードレース第4戦スポーツランドSUGO 参戦報告書

発行日:2018年6月25日

JGP3クラス参戦 中島元気(なかじまげんき)金曜から三日間という全日本のレースウイークの中でもマシンは、まとめられると考えていました。金曜日から天候が安定しなかったのは厳しかったですが、ウエットのフィーリングが思った以上に良かったですし、チームが最後までいろいろ考えてくれて、昨年状態が良かった岡山国際、鈴鹿のデータをベースにマシンを良い状態に仕上げてくれたので、それが力強く自分を後押ししてくれました。レース1のスタート直後にコースアウトし、最後尾となってしまったことを考えると、レース2での2位表彰台獲得は良かったですが、勝てるレースだったと思います。ファイナルラップの4コーナーでミスし、ちょっとそこで離されたので、その後の馬の背で仕掛けようというプランが上手く出来ず、さらに後ろからそこで抜かれ、少し焦りがあったのかもしれません。自分では曲がれると思ったファイナルラップのシケインのインへの飛び込みですが、後で映像を見てみると、あとタイヤ2、3本分はアウトからでも問題なかったと思いますし、やはりそこはもう少し落ち着くべきでした。安定して走るマシンに仕上げてくれたチームの皆さんに感謝しています。

チーム監督 菊池寛幸(きくちひろゆき)レース1スタート直後にコースアウトしたことを考えれば、2位表彰台獲得はよくやったと思います。ただ、ウエット、ドライ両方のタイムが遅すぎるのは気になります。これはJ-GP3クラスを走るライダー全員に対して言えることですが、ウエットでもコンディション的にそれほど悪くなかったと思いますし、もっと気温が低くてグリップも悪かった、私が2サイクルの125ccマシンで走っていた当時でも、ウエットで1'46秒台というのはタイヤの進化などを考えると、遅過ぎます。とは言え、中島の走りをコースサイドで見ていると、コーナースピードは高いですし、なぜタイムにそれが反映されないのか、そこは検証が必要だと思います。朝のウォームアップ走行では他のライダーによって1'35秒台が出ていましたし、それに対して決勝でのトップグループは1'37秒台での争いになりましたが、これも遅過ぎです。なぜそうなのか、これに関しても今後、検証していくつもりです。

まとめ・次戦のご案内不安定なコンディションとなってしまったレースウイークの状況は厳しいものでした。しかしそんな中でも積極的にチャレンジした姿勢は高い評価に値するものです。競技に参加する上で、最終的に自分の支えとなるのは自分自身の力になるわけですし、過ぎ去った時間を振り返っても戻りません。置かれた状況の中で自分の力をどれだけ出せるのか、そこに全精力を傾けるべきです。中島自身がそうした状況になれるよう、菊池監督をはじめとしたチームスタッフは全力でサポートしました。スタート直後でコースアウトし、最後尾となりながらも改めて集中し、中断まで追い上げたポジションが、最終的には2位表彰台に繋がりました。今回のスポーツランドSUGOでのレースは中島にとって鬼門とも言うべきもので、昨年は最後までコースを攻めきることが出来ませんでした。そのレースを2位で終えたことは、チャンピオンシップ的にも大きなものとなるはずです。残りは筑波、オートポリス、岡山国際、鈴鹿と中島にとって得意なコースとなることからも、さらに自信を高めて臨んでくれるはずです。次回のレースは6月30日・7月1日に茨城県筑波サーキットで行われます全日本選手権第5戦となります。このレースは土曜日、日曜日にそれぞれ1レースずつ開催される2レース制です。流れが非常に重要となるため、金曜日の走行から良い流れに持って行ける様チーム一同努めます。

<中島元気 プロフィール>1999年静岡県出身、18歳。2011年SRS-J(現・鈴鹿サーキットレーシングスクールモト)入校、6年間の受講期間に様々な面で成長をし、2016年には鈴鹿サンデーロードレースJGP3クラス(NATクラス)シリーズチャンピオンとSRS-Motoスカラシップを獲得。2017年より全日本ロードレースデビューし、開幕戦から表彰台登壇、最終戦にはポールポジションを獲得するなど活躍しランキング4位。併せてシーズン途中より参戦した東南アジア地域ライダー発掘を目的としているアジアタレントカップにも2度の表彰台を獲得した。今季も全日本チャンピオンを目標に、弊チーム「Team SRS-Moto」から全日本ロードレース全戦に参戦する。

<菊池寛幸 プロフィール>1965年京都府出身、53歳。1993年全日本ロードレースデビュー。2005年・2008年に125ccクラス(125ccはJ-GP3の前身にあたるクラス)で2度のチャンピオンを獲得。毎年上位ランキングを獲得し、2016年もランキング4位を獲得する実力を持っていながら弊チーム監督就任を決意し、同年に現役を離れ、昨年よりJGP3クラスを最も知る指導者として、中島とTeam SRS-Motoの成長を間近で見守っている。